糖尿病性の下肢浮腫(むくみ) 60歳代 男性

平成18年1月 初来局。

長年、糖尿病を患われている男性である。

病院より 経口糖尿病治療薬(糖尿病の飲み薬)が処方されている。
インシュリン注射はされていない。

一年前より、両下肢(膝から足先)が浮腫みはじめ、日増しに悪化。
当時は、まるでゾウの足のようだった。

下肢はパンパンに腫脹し、 靴など履ける状態ではない。
常に特大サイズのサンダルを履いておられた。

問診の後、愁訴部(両下肢)と浮腫の反応穴(はんのうけつ)を 糸練功(しれんこう)にて解析する。

(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」を参照されたい)


糸練功の指標(合数)
合数の数値は、-1.0~10.0 の範囲で表わされ、
病態の要因である“異常ポイント”を意味します。
※症状が重いほど合数は低く改善と共に上昇します


治療経過

0ヵ月後
愁訴部(両下肢)・浮腫の反応穴

-0.5合臓腑病陰証八味丸合理中丸
0.7合臓腑病膀胱陽証猪苓湯

症状
下肢の浮腫(極めて激しい)
ゾウの足のように腫れ、特大サイズのサンダル履き


1ヵ月後
愁訴部(両下肢)・浮腫の反応穴

1.5合臓腑病陰証八味丸合理中丸
2.0合臓腑病膀胱陽証猪苓湯

症状
下肢の浮腫(軽度)
服薬開始より、下肢浮腫は減少(著効)


8ヵ月後

愁訴部(両下肢)・浮腫の反応穴

8.1合臓腑病陰証八味丸合理中丸
8.8合臓腑病膀胱陽証猪苓湯

症状
下肢の浮腫(完全消失)
服薬4ヶ月後、普通サイズの靴を履く
希望に応じ、漢方治療を継続中


結語

下肢浮腫(糖尿病性)における、漢方治療の著効例です。

象の足のような下肢が、劇的に改善していく様に当方も驚きました。
大きく膨れ上がった下肢は、特大サイズのサンダルしか受けつけませんでした。
ですが、今では好みの靴を履いての日常生活です。

長年の糖尿病による障害で,糖尿病性腎症への移行途中だったようにも思えます。

さて、本症例の下肢浮腫には
1.「八味丸合理中丸(はちみがんごうりちゅうがん)」
2.「猪苓湯(ちょれいとう)」
の2種類の漢方薬が著効しています。

一見、簡単な処方選択と感じられるかも知れません。
ですが、我々は闇雲に処方を選んでいません。

漢方薬は 患者さんに適合して 始めて効果を発揮します。
適合しない漢方薬は効きません。
漢方薬を効かせる絶対条件は、適合性を見抜くプロセスです。

いかに適合性を見極めるか・・・

その方法として、当薬局は 糸練功(しれんこう)という技術を活用しています。
(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)

患部や反応穴には、必ず磁場の乱れ(情報)が生じています。
その情報を漢方的に分析し、適合処方を誘導する技術が糸練功です。

相談の段階で、薬の有効性を識別する方法です。
(この方法は、手間と時間を要しますので、「予約制」です)

そして、
1.八味丸合理中丸(はちみがんごうりちゅうがん)証
2.猪苓湯(ちょれいとう)証
の、2つの適合処方を誘導したのです。

・・・証(しょう)とは、
・・・の漢方薬が適応する治療ポイントを示します。
・・・の漢方薬で治せるお病気のことです。

つまり、患者さんの下肢浮腫は「八味丸合理中丸と猪苓湯で治る」確証が得られたことになります。

適合する漢方処方が解れば、後は漢方薬を服用するだけ・・・。
患者さんの自然治癒力がめざめ、ご自身の体内で自己修復が始まります。

現実に、症状が改善している事実は 漢方薬が患者さんへ適合している証です。

「患者さんと漢方薬の適合性を見極めた漢方治療」
糸練功は、それを実践するための技術です。

糸練功の理論は、木下順一朗先生(福岡県・太陽堂漢薬局)が構築され、その技法は 伝統漢方研究会で御教授いただきました。

木下先生はじめ、研究会の先生方へ感謝の念に堪えません。


必要となった漢方薬の料金

漢方薬漢方薬の種類料金(30日分)
八味丸合理中丸丸剤14,000円
(税別)
猪苓湯散剤11,000円
(税別)

※ 適合する漢方処方は、個々の患者様により異なります