冷え症を原因とする痛み(腹痛・腰痛・月経痛)

20歳代、女性。

平成17年6月 初来局。

平素より冷え症である彼女は、「夏でも靴下がないと眠れない」という。

そして数年前、寒冷への暴露により、下腹部痛と腰痛を発症された。

頻尿の傾向もあり、膀胱炎を何度も繰り返しておられる。

その後、過労がたまり、平成16年 秋より下腹部痛と腰痛が激化。
同時期に背中の痛み・月経痛も辛くなり、漢方治療の依頼に至る。

一通りの問診の後、痛みの愁訴部(下腹部・第4腰椎左・肩甲骨間左)を 糸練功(しれんこう)にて解析する。
(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)


糸練功の指標(合数)
合数の数値は、-1.0~10.0 の範囲で表わされ、
病態の要因である“異常ポイント”を意味します。
※症状が重いほど合数は低く改善と共に上昇します


治療経過

0ヵ月後
下腹部・第4腰椎左・肩甲骨間左の反応

0合臓腑病陰証当帰四逆加呉茱萸生姜湯

症状
下腹部痛(激しい痛み)、腰痛(強い痛み)、背部痛(痛む)、月経痛(激しい痛み)

下半身を冷やすと、痛みが悪化する


1ヵ月後
下腹部・第4腰椎左・肩甲骨間左の反応

1.9合臓腑病陰証当帰四逆加呉茱萸生姜湯

症状
下腹部痛(軽度)、腰痛(軽度)、背部痛(軽度)、月経痛(軽度)

下半身が暖かくなり、痛みが軽減する


8ヵ月後
下腹部・第4腰椎左・肩甲骨間左の反応

7.4合臓腑病陰証当帰四逆加呉茱萸生姜湯

症状
下腹部痛(消失)、腰痛(消失)、背部痛(消失)、月経痛(消失)

痛みは完全消失し、冬でも寒さを辛く感じない

希望により、漢方治療を継続中


結語

冷え症にともなう下腹部痛と腰痛は、漢方薬の服用開始から 急速に軽減していました。

漢方相談の当初より、1ヵ月間の合数の上昇は 【0合 → 1.9合】と、劇的な改善でした。
(通常の改善速度は、+1.0合/月 程度です)

糸練功の合数が、1.9合の痛みは 「痛いけど 生活にはさほど影響しない」レベルです。

3.0合を超える時点では、「微かに感じる程度の痛み」です。

8ヶ月を超えた時期には 合数は7.4合にまで回復しており、患者さんの寒さに対する抵抗力も充実しつつあります。
毎年お辛かった冬の寒さも、「今ではへっちゃら」だそうです。

さて、この寒冷刺激による様々な冷痛には「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」という漢方薬が著効しています。

一見、簡単な漢方治療だと感じる方もおられるでしょう。

ですが、我々は漢方薬を闇雲に選んでいるわけではありません。
漢方薬は 患者さんに適合して 始めて効果を発揮します。
適合しない漢方薬は効きません。

効かせる絶対条件は、適合性を見極めた漢方処方であることです。

いかに適合性を見極めるか・・・

その方法として、当薬局は 糸練功(しれんこう)という技術を応用しています。

冷えて痛む患部には、必ず磁場の乱れ(情報)が生じています。
その情報を漢方的に分析し、適合処方を検証する技術が糸練功です。

手間のかかる作業ですが、じっくり時間をかけて問診し、糸練功による情報解析をします。
(ですから、完全予約制です)

そして、
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)証
の、結果が得られました。

・・・証(しょう)とは、・・・の漢方薬が適応する治療ポイントを示します。
・・・の漢方薬で治せるお病気を意味します。

つまり、患者さんの冷え症による痛みは「当帰四逆加呉茱萸生姜湯で治る」確証を得たことになります。

適合する漢方処方が解れば、後は漢方薬を服用するだけ・・・。
自然治癒力がめざめ、患者さん御自身の細胞が修復作業を始めます。

現実に、患者さんの症状が治っている事実は、漢方薬がピッタリ適合している証です。

「患者さんと漢方薬の適合性を見極めた正確な漢方治療」

糸練功は、それを実践するための画期的な技術です。

糸練功の理論は、木下順一朗先生(福岡県・太陽堂漢薬局)が構築され、伝統漢方研究会で、御教授いただきました。

木下先生へ感謝の念に堪えません。


必要となった漢方薬の料金

漢方薬漢方薬の種類料金(30日分)
当帰四逆加呉茱萸生姜湯
(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
散剤12,000円
(税別)

※ 適合する漢方処方は、個々の患者様により異なります